オーケストラ・ゲゼンゲのはじまりからブラームスのチクルスを実現するまでを、ストーリー仕立てでご紹介。
「ブラームスの交響曲、振りたいんだよねぇ」
高田馬場の焼き鳥屋にて、同席していたTb.セクションメンバーに、
とある指揮者がぼやいた。
その後、思いは年々募り、50歳を目前に彼は思った。、
「このまま依頼を待っていては一生そんな機会はないかもしれない」
で決断に至る。
ブラームスの交響曲、4曲のチクルスを実現しようと。
漢・安藤の決断を嗤うかのように迫り来る災禍
2020年の2月に初回練習。
しかしほどなく予定していたリハーサルの継続が難しくなる。
得体のしれないコロナ禍突入だ。
「本当にこんな状況で実施するのか?」 と、
一部の団員から実施反対の意見がグループ内でも発せられる。
また社会的にも会場に人を集めることが非難の的となり、
本番会場も当分閉鎖の処置。先の見えない無期延期に追い込まれることとなる。
第一回 ベートーヴェンとブラームスの交響曲第1番
それから1年ほど経って、アマオケのコンサートが徐々に開かれ始めた頃、
どうにか会場を確保してメンバーを再結集したところ、
弦楽器に多少の入れ替わりはあったものの、ほぼ延期前のメンバーが結集出来た。
そんな経緯をたどり、10月にとうとう1回目の演奏会を実施する。
数多となくなった公演があるなか、延期公演を出来たのは幸いだった。
ベートーヴェンとブラームスの交響曲第1番 かつしかシンフォニーヒルズ
打ち上げはもちろんなし。
しかしコロナの影響はこれで終わらなかった。
1回目が好評で、2回目の演奏会を翌7月に予定出来た。
最終のリハーサルを終えて明日本番という夕方、
よりによって指揮者が37度を超えた微熱程度の発熱。
しかし声が全く出なくなる。
簡易検査キットでは陰性と出たものの果たして信じていいのか。
当日の朝、救急病院で検査を受けようとするも長蛇の列で、陰性証明を受けとれず。
これが通常なら、ユ〇ケルでもドーピングしてやってしまうところだが、
露骨に怪しい状態で出演するわけにもいかず、当日中止と言う苦渋の判断となる。
急遽SNSでの中止告知。団員&エキストラへの周知に追われた。
中止を知らずに会場に現れてしまったお客様のために団員数名にいてもらうなどの手配を済ませる。
そんなこんなしているうちに診察の順番が回って来て、まあ想定通りの陽性反応。
こうなると「強行しなくて良かった」と思うことにするしかなかった。
第二回 ベートーヴェンとブラームスの交響曲第2番&悲劇的序曲
その後、放心で自宅待機していたが、
どうにかリベンジを!!と画策し、
都合が合わずに参加出来なくなった団員もいる中で9月に延期公演を計画。
思い出しリハ2回と当日は夜のみ会場を押さえての強行軍だった。
2回目のリハの際に、団員内で集められたカンパを受け取る。
既に、コロナによる中止の会場費返金措置は終わっていたのだ。
とてもありがたかった。
当日、指揮者は午後まで先約の別仕事の後に会場に駆け付ける。
主催者(=指揮者) 不在の中、舞台監督中心にステージの仕込みをしたところに姿を現して
ほんの少しだけのステリハを実施し、無事に本番を決行した。
ささやかに打ち上げもあった。
第三回 ベートーヴェンとブラームスの交響曲第4番&大学祝典序曲
順番的には、1番、2番と来たら次は3番と思うだろうが、
第3番は4曲の中でも超難曲なことを考慮し、順番を入れ替えることに。
だがしかし、、ベートーヴェンの第4番が難曲だったけれど。。。
3度目の正直?で、当初予定した日程で初めて実施出来た。この当たり前のことが何と幸せなことか。
打ち上げも通常に実施。
このタイミングでとある女性のいきなりの結婚カミングアウトに
おじさんたちが泣く。(笑 関係なかろう…)
チクルス完結。第四回 ブラームス交響曲第3番&ドイツ・レクイエム
そして、交響曲チクルス完結回は、同作曲家のドイツ・レクイエムをカップリング。
オケのリハーサルを年末に始めるかなり前、7月から合唱団の練習を開始。
オケの方もいつも動員にひときわ苦労するVc.が7人団員の大所帯となった。
第3番の練習初回、難曲中の難曲とピリピリしていたが、
色々と小さな事故もあったけど、そうは言っても止めずに通ってしまう。
終わった後、異口同音に「通っちゃったね・・」と。それがこのオケの底力に思えた。
リハ後にミーティングもあってアフターは中華。(なぜか中華のアフター率高い)
前の週の日曜に行われた歌とオケの合わせ。
ハープも初めて登場。完成形を皆に想像させる。最後のハープの何と美しいことか。
そして迎えた本番当日。
前半に交響曲第3番。終始、高い集中力を求められる曲である。
後半、2人のソリストを迎えたドイツ・レクイエムでは、舞台に80名近いコーラスが登壇。
最後の音が会場にとけた後、元旦に起こった能登半島地震の犠牲者のために黙祷を捧ぐ。
これにて、チクルス完結となった。
これで、このオケの活動は終わりなの??
完結回の練習が始まる少し前にそんな団員の声がちらほら聞こえ、
「出来る事なら継続したい」と表明し活動を継続していくことに。
初めて選曲ミーティングも持たれ、
ブラームスが4番までだったから「5番」をやろうとなって、
ショスタコーヴィチの名前も出る中、チャイコフスキーということに。
いつまで継続出来るかは、指揮者が団員とお客様双方に、如何に満足感を感じてもらえるかにかかっている。
演奏の様子を一部ご紹介
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