今日も午後にキャスト稽古を実施。最近は頻度の少なくなっていた某稽古場ですが、実は、ウチの団体が発足した頃は、よく使っていました。通称「水族館」と言い、劇団の稽古場としても使われていたり、よくは分からないのですがアパート的に住人がいたりだったのですが、数年前に老朽化した建物を建て直して、今は音出し可能な音楽マンションとなり、その内部に貸しスタジオがあるという感じになりました。
今日の参加者の中には、古い建物しか知らない人も何人かいてその変貌振りに驚いていました。
さて、ルチアという演目をざっくり言うと、「望まない政略結婚を強いられたルチアが狂い死にする」ということになろうかと思いますが、その政略結婚を強いた兄、エンリーコはそんなに悪い奴なのでしょうか?
人目を忍んだ逢瀬で、ルチアの真の恋人エドガルドはルチアに言います。「エンリーコに結婚の許しを貰おう」と。しかし、エドガルドはそもそもエンリーコのアシュトン家とは政敵の間柄。自分の家をエンリーコに滅ぼされています。それがこの能天気な発言。
また、相思相愛が婚礼の基本・・・というのはそもそも現代的な価値観であり、政略結婚は時代的には当たり前でした。自らの一族の衰退を食い止めようと、一族の長であるエンリーコが有力な家系との縁組を考えることは極自然なことであり、それには一族の命運もかかっているわけです。
なのにも関わらず、よりにもよって政敵エドガルドに恋をしてしまう妹ルチアに激怒するのは当然のことと思えます。
感情だけで愛に突っ走り逢瀬を重ねるルチアとエドガルドは今で言う所のKY またはバカップル (これも既に古いですかね)って感じでは・・・まあ・・・だからこそ純粋で美しく映るわけですが。
そんな話もしながら、今日はルチアとエンリーコの兄妹のデュエットの稽古に時間をかけました。
音楽稽古ももうすぐ折り返し地点です。今後はより音楽を深めていく作業と並行して、皆さん暗譜ですよぉ!!
って・・・一番書きたかったことを書いてないことに気がつき、追記します。
オペラは、ルチアが狂乱して倒れ、エドガルドがそれを知って後を追うという展開をして幕を閉じるわけですが、有力な縁談相手だったアルトゥーロをあろうことか「刺し殺す」という最悪の展開を受け、このあとのエンリーコとアシュトン家一族の末路を思うとですね、まったくなんてことをしでかしてくれたんだよ馬鹿な妹よ!!って感じです。むしろ可哀想なのはエンリーコでは・・
まあ・・・
でもオペラってそんなものですよね。
よくよく考えると理不尽なことが沢山起きています。辻褄が合わないと思うことがしばしば。ザラストロが娘を誘拐した悪者から一転した扱いになるようなもので(ちなみにそれは魔笛の話)
しかし、そうした「ん?」なものを感じさせなくしてくれるのがまた「音楽」と「声」の魅力なのだなと結局思います。それによってねじ伏せられると申しますか。
ルチアはベルカントオペラの最高傑作(の1つ)と言われている作品です。それをお客様に体験していただくべく鋭意制作していますので、是非劇場に足を運んでいただけたらと思います。(結局営業。でも沢山の方に聴いていただきたいので)